現在放送中のアニメ「ポケットモンスター(2023)」やポケモン公式YouTubeチャンネルで公開中のオリジナルWebアニメ「放課後のブレス」は、ポケットモンスターシリーズ最新作に出てくる主人公がメインではなく、両者ともにアニメオリジナルのキャラ(=オリキャラ)である。
この「オリキャラ」自体は、原作に囚われずに制作スタッフの思い通りにすることが出来るため、ある程度自由が効く反面、原作ファンからの興味が持たれない。
そのためか、ここ最近の「アニポケ」や「Webアニメ」の再生数や関心度が以前のシリーズに比べ非常に下がってきている。
YouTube再生数激減
放課後のブレスは元々WebアニメのためYouTubeで公開されているが、アニポケに関しても放送終了後1週間限定で「見逃し配信」としてポケモン公式YouTubeやテレ東公式YouTubeチャンネルで配信されている。(2019/11~開始)
アニポケの見逃し配信は「ポケットモンスター(2019)」シリーズ第1話より開始し、新シリーズになった現在も続いている。
そんなアニポケと放課後のブレスだが、両者ともに前シリーズと比べると再生数が激減してきている。
原作ジムリーダー中心の「薄明の翼」、添えの「放課後のブレス」
Webアニメシリーズは過去に何作か作られているが、第8世代「ポケットモンスターソード&シールド」編のWebアニメとして「薄明の翼」が公開された。
薄明の翼はジムリーダー中心(=原作キャラ中心)のアニメであり、「ポケットモンスター(2019)」シリーズに登場しなかったジムリーダーも登場し、原作では知らない裏側等も見れ、原作ファンからすれば非常に興味を持つ作品であった。
しかしながら、最新作「ポケットモンスタースカーレット・バイオレット」編のオリジナルアニメ「放課後のブレス」は、オリキャラ3人が中心のアニメであり、肝心とも言えるジムリーダー(ナンジャモ)はわずか5秒程、ライバルのネモでさえもメインでは無かった。
ナンジャモはアニメ「ポケットモンスター(2023)」でさえも1話限りの登場であったが、放課後のブレスでは更に少なく、わずか5秒程度と「添え」でしかなかった。
この惨状では原作ファンが見ないのもよく分かる。
本来のアニポケの目的が崩壊
アニポケはそもそも話、なぜ放送されているのだろうか。
長年続いているからか?それとも「お金になるから」か?
ゲームの販促をするのが本来のアニポケの目的だ。
だがしかし、今作「ポケットモンスター(2023)」や前作「ポケットモンスター(2019)」では最新シリーズの地方を舞台とせず、全地方を舞台としてきた。
ただ2019年シリーズと2023年シリーズにおいては非常に方向性が異なる。
新無印:過去シリーズ・リメイクの販促も兼ねる
新無印シリーズでは当時最新作「ポケットモンスターソード・シールド」の舞台ガラル地方を加え、過去のシリーズすべてを舞台とした物語となった。
主人公はサトシとゴウのW主人公で、サトシがバトルメイン,ゴウがポケモンを乱獲メインと役割が別れていた。
そんな新無印(2019年シリーズ)だが、ガラル地方編として「ソード&シールド Ⅰ~Ⅳ」でゲームの終盤を4話にまとめたほか、ガラル地方チャンピオンとの勝負、WCSを通してでのガラルジムリーダーとの勝負も繰り広げられたが、その反面ガラルだけでなく、全地方の一部のジムリーダーのみ出場(登場)したが為に、ガラルのジムリーダーが全員登場せずに、完全新作「ポケットモンスタースカーレット・バイオレット」が発売、そしてその翌月(2022,12月)に放送が終了してしまった。
ただ、2021年11月に発売された「ポケットモンスターブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール」発売記念として同年8月にはSP回として「ダークライ 真夏の夜の夢」「クレセリア 真夏の世の光」、12月には「ディアルガ&パルキア!時空大異変!!」「ディアルガ&パルキア!時空大決戦!!」、更にはAmazonプライムビデオ限定として2022年1月に発売された「ポケモンLEGENDSアルセウス」の販促を兼ねた特別アニメが4話公開された。
このように、「全地方」を舞台にした分、過去のリメイク作品が発売されても違和感なく特別編を組める点としては新無印は良い点であった。
ただ、新無印終盤では総集編や放送休止、WCSでの過去チャンピオンの不遇、アニメーターの爆弾発言など問題が相次いで生じた。
めざせポケモンマスター編
2022年12月にサトシ編の終了が発表され、翌年1月から3月までの間「ポケットモンスターめざせポケモンマスター」編が全11話で放送された。
基本的なことは新無印編とさほど変わらないものの、主人公はサトシのみで旅仲間として初代シリーズのタケシとカスミが同行した。
舞台に関しては言及されず、毎話サトシの旅ポケモンがランダムに交代形式で登場した。
この11話に関しては2022年11月に発売された「ポケットモンスタースカーレット・バイオレット」の新要素はメインパートでは一切出てこなかったものの、最後のおまけコーナー「ロケット探検団」が新無印に引き続き放送されたほか、「ポケなぞ」がパルデア編となって放送され、一応新作の販促をしていた。
リコロイ:アニポケオリジナルが中心
前シリーズ「ポケットモンスターめざせポケモンマスター」が放送終了後2週後に今作「ポケットモンスター(2023)」が放送開始された。
主人公は歴代7シリーズで登場してきたサトシから変わり、リコとロイへと変更された。
舞台に関しては新無印同様全地方、タイトルも無印と初代、新無印との区別が難しくなった。
そんな今作「ポケットモンスター(2023)」だが、特に目立つのが「オリジナル」要素だ。
上記はリコロイ編の主要キャラクターの人物関係図だが、ポケモンを除くと全てオリキャラだ。
前前作「ポケットモンスターサン&ムーン」以前のように原作キャラが冒険するわけでもなく、同行するわけでもない。
更には旅仲間(チーム)としてライジングボルテッカーズがいるが、「フリード」「オリオ」「マードック」「モリー」「ランドウ」「ドット」と非常に多い。敵としてもエクスプローラーズがいるが、これも多い。
今作は謎のペンダントの形をしたポケモン「テラパゴス」といにしえのモンスターボールにいた「黒いレックウザ」の謎を巡る物語。
テラパゴスに関しては、「ポケットモンスタースカーレット・バイオレット DLC『碧の円盤』」で登場することが分かっており、アニメに先行登場することでDLCの販促となっているが、肝心の原作の販促に関しては新無印以上にされていない。
今作ではカントー地方→パルデア地方→ガラル地方の順(執筆時)に移動している。
カントー地方ではリコの学校がある「セキエイ学園(オリジナル)」とロイが住んでいる離島(オリジナル)が登場。
パルデア地方ではライバル「ネモ(原作)」とジムリーダー「コルサ(原作)」が1話限りで登場した他、「ナンジャモ(原作)」も登場した。
ガラル地方ではジムリーダー「カブ(原作)」が剣盾発売4年の時を経てアニポケに初登場した。
だが、パルデア地方編は10話と短く、パルデアの学校の中やコルサとナンジャモ以外のジムリーダー、スター団などは一切登場しなかった。
ガラル地方編においてもカブ以外はガラル地方特有の「ダイマックス」や新無印で登場していないカブ以外のジムリーダーに関しても登場していない。
このようにオリキャラ・オリジナル路線を歩んでいるリコロイ編だが、最近はYouTubeでの再生数やコンテンツとしての人気度が減少してきている。
新規層が皆無、見逃し厳禁
上記はGoogleトレンドの人気度の推移だが、全盛期は2016年11月。(2004年〜)
サトシの顔が「アレ」になったことが非常に話題となったことを覚えているだろうか。
あの件やXY終了が重なった結果、過去19年間で1番人気があったのかと思われる。
なお、地上波放送の視聴率自体は無印から減少し続けていたが、SNSが盛んになってきたのは2010年代なので特段これより以前が人気がなかったわけではないおろか、もっと昔の方が人気でもあったぐらいだ。
では2010年以降にしてみたらどうだろうか。
やはり2016年11月が1番人気である。
続いて人気なのは2022年12月。
これは先程「ポケットモンスター(2019)」でも紹介したが、サトシ編の終了発表だ。
では「現在」の数値はどうだろうか。
このデータはここ1年間の人気度の変異だが、ここ最近や6月頃(パルデア編)の数値が低い。6月頃に関しては原作キャラのネモやコルサが登場したのにも関わるこの数値。
YouTubeの見逃し配信に関しては最終値50~70万再生ほどとある程度取れてはいた。
だが問題はここ最近。人気度も過去1年で最低となってきており、なおかつYouTubeで公開されている見逃し配信の再生数も見逃し配信が開始された2019年から現在までで過去最低数値を叩き出している。
これには前述した通り、オリキャラがメインの回や単純にストーリーがつまらない(魅力がない)などの要因があったものと見られる。
Xにてこの件についてポストしたところ、「長年アニポケファンである人からすれば人気が落ちること自体は悲しいことだ」や「オリキャラに魅力が湧かない」などの意見も頂いた。
その一方で、「ストーリーが面白いから再生数などどうでもいい」などという意見も見られた。
忘れされたポケモン映画
「夏はポケモン!」
このフレーズをここ4年間全く聞かなくなってしまった。
時は2020年4月。日本において新型コロナウイルスの流行が始まった頃、政府より緊急事態宣言が出され、あらゆる業界がストップしてしまった。
もちろんながらアニポケやポケモン映画も影響を受けた。
アニポケに関しては今後の制作を見合わせ、放送休止(再放送)へ。
そしてポケモン映画に関しては「映画館」という密な環境下で見るため、状況が落ち着くまで公開延期を余儀なくされた、
そして2020年12月。
ようやく「劇場版ポケットモンスターココ」が公開されたが、結果とすれば興行収入が歴代最低と悲惨な数値となってしまった。(赤字額となってしまった)
その翌年2021年はポケモン映画に関して音沙汰なく、2022年の6月、アニメ「ポケットモンスター(2019)」の地上波放送終了間際に過去の歴代3作品の再公開を行う趣旨の発表がされ、翌々月の8月から9月にかけて3作品の再公開が行われた。
そして今年2023年。
アニポケの主人公がサトシからリコとロイへと変更された為か、「今年も」新作映画のアナウンスはなかった。
ココからはや3年。ココの発表からは4年が経過しようとしている、
「ポケモン映画」コンテンツはもう既に崩壊してしまったのだろうか。
オリキャラメインの人気が下がってきているアニポケを映画化出来るのだろうか。
はたまたもう映画は公開しないのだろうか。
「オリジナルWebアニメ」「アニポケ」「ポケモン映画」
この3つの在り方、そして存在意義が薄れていっていることには変わりはないだろう。
アニメ「ポケットモンスター」 テレビ東京系列 毎週金曜18:55~放送中
※TVerリアルタイム配信対象番組 今作は第8シリーズとなる。
第1~7シリーズではサトシが主人公として活躍し、2023年3月にサトシ編が最終回を迎えた。 2023年4月より今シリーズの放送がスタートし、主人公はリコとロイとなった。 番組公式HP https://www.tv-tokyo.co.jp/anime/pocketmonster2023/
番組公式X(旧Twitter) https://x.com/anipoke_PR
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